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「エリカ」 小池真理子著
サスペンスやホラーが多い私にしては珍しく、恋愛長編だ。
でもこの本の主人公「エリカ」の気持ちに共感する所が多くてのめりこんだ。
エリカの親友、蘭子が急死する。
蘭子の愛人、湯浅は蘭子の葬式の日にエリカを口説く。
その常識のなさ、性急さに辟易しながらも、愛の言葉を囁く湯浅に次第に惹かれていく。
体を合わせてからエリカは自分と湯浅の間に不協和音が鳴っているのに気づき、やがて湯浅が自分を愛してなかったことに気づく。
湯浅は結婚していて妻とは別居中だが、離婚する訳じゃない。
一方エリカは自分の会社を持つ独身キャリアウーマンだ。
いわゆる不倫ということになるが、この心の葛藤は恋をしていたら誰にでもあることじゃないかと思う。
不倫だったら、会いたい時に会えない、電話したくてもできない、家族の都合に合わせる等の不満もあるだろうが、湯浅は別居中なので、普通の恋人同士と変わらない。
ただ1つ、妻が時々来るという湯浅の家に呼ばれないくらいだ。
週に1度は会い、食事をし、エリカの家でひとときを過ごす。
そのそこそこ幸せの中に生じる不協和音。
「どうしてもあと一歩、相手の中に踏み込めずにいる時の、漠然とした距離感を伴う不協和音だった。」
この「漠然と」が曲者で、自分でもどうしようもない。
「愛してるよ」と言う湯浅にエリカは実態の薄い、虚しい言葉はないと感じながら、自ら「私のこと愛してる?」と問いかけてしまう。
「愚かしい、馬鹿げた、古今東西、身勝手にも自分に向けられる愛だけを執拗に求める女たちが繰り返してきた質問を、口にしてみたくなってしまうのだった。」
即答で「愛してるよ」と言うと余計に聞きたくなる。
「湯浅を求め、愛しているにもかかわらず、何も求めてなどいないような気がする。愛してもいないのに、相手に愛の言葉を強要しているだけの、度し難く手前勝手な女になったような気もしてくる。」
「嘘でもいいから、自分に向けた愛情が完璧なものであると言ってほしい・・・・・・そう願う女の、度し難く愚かな心情が、初めて理解できた気がした。」
どれだけ自分のことを愛しているか、愚かにも言葉で表現して欲しい、何度でも聞きたいと思うのは、多分付き合いだしてしばらく経ってからじゃないかと思う。
その頃になると、お互い馴れ合い、付き合い始めのような情熱的なものではなくなってくる。
それはそれで、穏やかな幸せなのかもしれない。
だけど、それは生活の一部、愛の言葉も営みも生活の一部として過ぎていく。
相手の愛の言葉が日常会話のように感じられる。
だからこそ、何度でも聞きたい。確かめたい。どれだけ私を愛している?
目に見えないからこそ真実が知りたい。確証が欲しい。
だけど、「愛してるよ」って言われても確証はない。
反対に言われると空っぽく聞こえる。
胸をかっ裁いて心の中を見ない限り、信じられないものなのかもしれない。
結局の所、どうしていいか、どうしたいのかわからない。
ひどく孤独感、焦燥感、悲壮感を感じ、恋することに疲れて行くけど、止められない。
嘘かもしれないと思いながらも信じてる。絶対彼は私を愛してると。
そして「絶対」→「きっと」→「たぶん」→「もしかしたら」→→「絶対」・・・のメビウスの輪の中に入り込んでいく・・・
何日か前にめざましテレビで「女が男に言われて嬉しい言葉」という特集をやっていた。
若い世代だと確か「一生君を守っていくよ」だったか。
巣鴨のおばちゃん達は「ありがとう」や「美味しかったよ」の一言が嬉しいと言う。
多分、私はそんなことはとーぜんでしょう!と思う世代にまだいると思う。(まだそんな歳じゃないぞ!
早く「ありがとう」だけで満足する世代になりたいとも思う。
そうすればヤキモキしなくてすむからね。
でも恋の醍醐味を十分味わってからにしたい。
まず相手探さないと!(T_T)
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